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時間と建築

サン工房の家づくりに

『日本の家をつくる。』と『設計事務所がつくる家。』
を掲げています。
その、日本の家をつくる。
のコンセプトは、真新しい家は、気持ちがいい。
でも、ただ新しいだけじゃなくて、
できたばっかりなのに懐かしさを感じるような、
心の奥で遠い記憶がよみがえるような、
そんな家は、もっといい。
おかえりなさい、日本の家に。
家づくりは、住みごこちのよさ、性能、機能、
丈夫で長持ちする家はもちろんのことですが、
コロナの影響を受けても建築を生業とする私たちは
社会のインフラを担っている責任があります。
時代という時間の流れには様々な出来事があり、
乗り越える力をつけて継続をすることが、住まい手に安心を与えることと思います。
また、大事なことは、家とは何かを考える事と思います。
丈夫で長持ちは当たり前として、家にいる時間とはなにか。
家族の記憶は時間とともにつくられ、
その家は穏やかな記憶を残す場面づくりにもあると思います。
台所から聞こえてくる母の声、父が座っていた椅子、四季折々の佇まい、
少年から青年の記憶は大人になって新しい家族を築いても
忘れることはないと思います。
時間とともに家も経年変化を遂げながら
懐かしさを感じられれば幸いかと、
思いながら住まい手に寄り添う家づくりを目指していきたく思います。
松井進

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# by sankoubou | 2020-08-24 10:54 | 想い

地元の材料を使う

外出自粛で出かけることが減り、読書の時間が長くなりました。

電子書籍のおかげで書店に足を運ばなくても様々な本が読めるようになり、
携帯電話、タブレット等、異なる端末から同じ本を途中から読むことができ、
便利な世の中だなと、つくづく感じます。
直近では新国立競技場を設計したことでも有名な隈研吾さんの「ひとの住処」を読みました。
新国立競技場や日本平夢テラス等、
公共建築や商業建築に木材を沢山使用することが印象的ですが、
どのような思考、プロセスで設計しているか、隈さんの半生と共に綴られています。
中でも印象的だったのが「最高の木は裏山の木だ」という言葉です。
日本は温暖湿潤で全国各地で木材が採れる環境ですが、
地元の木を使うことが極めて重要だと述べています。

地球温暖化が問題視されていた2000年頃、
地元の木木材を使って建築しそれを長く大切に使っていくことが
温暖化対策に重要だと科学的に実証されました。

木材は光合成によって空気中の二酸化炭素をとりこみ、それを固定化する力がある。
地球上の膨大な量の建築を木で作るようになると、
かなりの量の二酸化炭素を減らすことができる、
というシュミレーション結果が発表されました。
安いからといってロシア、カナダの木材を使用すると
輸送の船や車が二酸化炭素を排出するため元も子もありません。
地元の木は温暖化防止という側面をもち、
敷地と同じ環境条件で育ったため、出来上がった後も狂いがありません。
大工に話を聞くとほぼ全員が口を揃えて「地元の材が良い」と答えます。
隈研吾さんは建築を計画する際に
地元の環境を調査、現地の住人や職人と会話し、
(木材に限らず)地元で入手できる材料を建築としてどのように表現するか、
が設計の着想になるそうです。
そうして、そこでしか作れない建築をいくつも手がけています。
現存する最古の建築は7世紀に建てられた法隆寺で、1400年の歴史があります。
住宅で1400年というと非現実的ですが、100年以上の住宅は私も改修経験があり、
皆さんの地元にも1棟はあるのではないでしょうか。
温暖化防止という観点では木は60年サイクルで計画的に伐採するのが効果的で、
60年以上放置された森は、
60歳以上の人間と同じで、次第に二酸化炭素を固定化しなくなります。
手入れをもせず森を放置すると土は保水しなくなり、
山から流れる水質も悪化し洪水の原因となったり、
海の生態系をも崩す危険性もあります。
浜松市には森林組合、庁舎内には林業振興課があり、市をあげて森を守る活動をしています。

日本三大人工美林の1つとされている浜松の天竜杉は、色肌がとても美しく、
天皇即位儀式行った大嘗宮(だいじょうきゅう)や新国立競技場にも使用されています。
住宅を検討する際、木造、鉄骨造、コンクリート造のどれが良いか、悩む方も多いかと思います。
それぞれ長所、短所があり一概に「これが良い」とは言えませんが、
静岡県西部地区で建てるのでしたら、
地元の木材を使用した家が適しているかと私は思います。
増田光


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# by sankoubou | 2020-08-18 13:55 | 想い

注文住宅

住まいの形は人それぞれ。
今の時代、選択肢が多くあり、戸建て注文住宅や、新築建売住宅の他にも、
中古住宅のリノベーション、新築や中古のマンション、賃貸アパート、シェアハウス、
介護サービス付きの施設、ネットカフェなど。
住まいは、まさに生活スタイルそのもので、その時々の生活に最も都合の良い形が選べるよう、
様々な形の住まいが提供されています。
逆に言えば、選択肢がそれ程存在するということは、それだけ生活スタイルが多様化しているとも言えます。

その多くの選択肢の中で、あえて戸建の注文住宅を選ばれるという方には、
一体どのような想いがあるのでしょうか。
注文住宅を選ばれた理由をネットで検索したところ、次のような答えが出てきました。
・間取りやデザインが自分の思い通りになる。
・生活がしやすい
・子育てがしやすい(音の問題)
・将来の資産形成(子供に家を残してあげられる)
・老後の生活が安心(健康でいられる、災害に強い)
・将来の生活の変化に対応しやすい(リフォームがしやすい)
など。

自己実現の他、将来の安心を求める声も多くみられました。
また注文住宅を取得される方の平均年齢は40.2歳だそうです。
(国交省調査)将来を現実的に考え始める年齢ですので、上記の理由も納得できます。

サン工房では、戸建て注文住宅の数が最も多く、
それは私たちが大切にしている家づくりのコンセプトが「日本の家をつくる」だからです。
日本の家はそもそも、「しっかりつくって、きちんと手入れして、大切に長く住む家」でした。
戦後復興以降、様々な住宅の価値観が生まれましたが、
元々の日本の家の考え方は、持続可能な社会が求められる、この現代にまさにふさわしく、
日本人が長い間、当たり前に営んできた生活に再び光が当てられたように思います。

変化の激しい時代だからこそ、しっかりと地面に根を張り、氾濫する情報に流されず、
自分や家族の生活を将来に渡って確保するための家として、注文住宅を見直してみてはいかがでしょうか。
大西等
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# by sankoubou | 2020-08-04 08:44 | つくる

想いを再生する



例えば、長きに渡り暮らしてきたお住まいを建て替える際に、
想いを継承できるものを新しい家で再利用をされたいという気持ちには、
できるだけご希望をかなえたいと思います。
.
今回は、和室の続き間にある杉の千本格子の欄間を再利用させていただきました。
新しい計画には、和室の続き間はありませんので、違う形で蘇らせていただきました。
欄間を壁につける際に、垂れ壁をくぼませその中に照明仕込みました。
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常にご家族が集うダイニング側に設けましたので、
格子欄間越しの灯りがお食事の際の演出となればいいなあと思いご提案させていただきました。
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お引越しはこれからですが、
食卓を囲まれる際のご家族皆さまの団欒の場を照らす灯りとして、まだまだ元気に活躍しそうです。
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夏目通宗
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# by sankoubou | 2020-07-27 18:25 | 想い

手書きの温度

やっぱり、手で書く事を大事にしたい。

様々なテクノロジーが日々進化し
効率化され便利になる中で、
よりそのような想いが増してきました。

例えば文字。
手書きの文字にはその人の人柄やその時の感情や想いが筆に転写され、
温度のようなものを感じます。
手紙は勿論ですが、メモ書きひとつとってもです。
それは文字だけではなく、私たちが大事にしている図面にも同じことが言えます。

現状はコンピューターを使い
殆どの図面を作成していますが、
拡大や縮小、複写、削除、転送…などなど効率も良く、正確で便利です。
ですが、拡大や縮小を自在に出来るが故に、
今、縮尺が何分の1の図面を書いているのか
「寸法」に対しての感覚はそこにはありません。
特に住宅設計においては、人が暮らす場であるので
寸法と身体感覚を一致させなければ良い設計は出来ません。

手書きの場合は、縮尺が固定されますので
寸法感覚が自然と身に付いていきます。
そのうち物差しに頼らなくても、
間違った寸法や間取りの違和感など感覚的に気付くようになります。

また、図面全体を見渡しながらバランスをみたり、
図面上で人を動かしてみたり、寛がせてみたり、風を吹かせてみたり、書いた図面をぐるぐる回して様々な角度から見てみたり。

手書きの図面には、文字と同じく人の温度のようなものを感じます。
それがそのまま完成した家にも、その温度が宿るような気がします。

最新のテクノロジーを活用しながらも
「手書きの温度」もこれからも大切にしていきたいと思います。

岡本茂揮
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# by sankoubou | 2020-07-22 10:20 | 想い

設計者の想いと会話をつづりました


by sankoubou